決済大手ペイパルは、自社のステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」の残高に対して年利3.7%の利回りを提供する計画を明らかにした。

ブルームバーグが4月23日に報じたところによると、 ペイパルの担当者は、この取り組みがステーブルコインの利用促進を目的としていると述べた。プログラムは今夏に開始される見通しで、利回り報酬はPYUSDで支払われるという。

ユーザーはPYUSDを法定通貨に交換したり、消費に使ったり、他のユーザーに送金したりできる。報酬は日次で発生し、月に一度まとめて支払われる。ペイパルはこの機能によって、プラットフォーム上でのステーブルコインおよび暗号資産による決済の利用率が高まることを期待している。

この報道は、PYUSDの時価総額が2024年夏に10億ドルへ到達した後に続くものだ。記事執筆時点で、ステーブルコインの時価総額はそれより約4分の1少ない8億7330万ドルとなっている。

ペイパル、自社ステーブルコインに年利3.7%提供明らかに image 0 PayPal USD’s market cap chart. Source: CoinMarketCap

暗号資産投資企業SyndikaのCEOであるツァヒ・カンザ氏はコインテレグラフに対し、「規制上の観点から、ペイパルはこの利回り提供がステーブルコインを証券と見なされるリスクを招かないようにする必要がある」と語った。ユーザーにとっての金融リスクについて同氏は、ペイパルが利回り支払いの約束を守れる体力はあるとし、主なリスクは金利そのものではなく「ドルペッグの喪失」であると述べた。さらに次のように付け加えた。

「利回りを提供しないステーブルコインは通常、証券とは見なされない。しかし、利回り付きのステーブルコインはその対象となる可能性がある。」

ペイパルは暗号資産に賭ける

ペイパルは製品開発を通じて、ブロックチェーン技術への取り組みを強化している。4月初旬の報道によると、ペイパルは米国ユーザー向けに、チェーンリンク(LINK)やソラナ(SOL)といった暗号資産の売買・送金機能を追加している。

実際、Polygon LabsのCEOであるマーク・ボワロン氏は、ここ数年にわたるステーブルコイン市場の急成長の原動力の一つとしてペイパルを挙げている。Cointelegraphのインタビューで、同氏は「Stripeやペイパルのような企業がステーブルコインを統合したことが、主な成長要因だと考えられる」と述べた。

PayPal USDの概要

PYUSDは、ペイパルの委託を受けたパクソス・トラスト・カンパニーが2023年8月に発行を開始した、米ドル連動型ステーブルコインである。ペイパルは主要な決済ネットワークとしては初めて、自社ブランドのステーブルコインを発行した企業となり、同年9月にはVenmoがPYUSDへの対応を開始した。

各トークンは、現金預金や米国短期国債などの現金同等資産によって1対1で裏付けられており、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の監督下にある口座で管理されている。発行当初はイーサリアムのERC-20規格に準拠していたが、現在はソラナ(SOL)上でも展開されている。

現在のPYUSDの時価総額は、最大のステーブルコインであるテザー(USDT)には遠く及ばない。コインマーケットキャップのデータによると、記事執筆時点でUSDTの時価総額は1453億ドルで、PYUSDよりも約17,255%(約173倍)大きい。カンザ氏は、「テザーの強みは市場シェアの大きさにある。規制遵守や透明性、利回りを備えているわけではない」と指摘した上で、こう述べた。

「ペイパルが競争力を発揮するには、規制遵守・透明性・利回りという3つの分野を重視する戦略が有効だろう。」

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