Aptos、ステーキング報酬を約50％削減する新ガバナンス提案を発表

アプトスが新ガバナンス提案を発表

アプトスコミュニティ は、ステーキング報酬を現在の7%から約3.79%へと約50%削減するガバナンス提案「AIP-119」を 提出 した。

この提案はネットワークのインフレ抑制と資本効率の向上を目的としており、今後3カ月かけて段階的に実施される見通しだ。2025年4月18日に、コミュニティメンバーのムーン・シェスティ（Moon Sheisty）氏とAptos Labsのエンジニアであるシェリー・シャオ（Sherry Xiao）氏によって提出され、現在活発な議論が行われている。

ステーキング報酬の見直しと分散性維持の方針

AIP-119は、アプトスのステーキング報酬を削減し、他のレイヤー1ブロックチェーンと報酬水準をそろえることを目指している。

提案者は、高水準の報酬がネットワーク参加者の行動を受動的にし、DeFi（分散型金融）やMEV（最大抽出可能価値）戦略、再ステーキングなどの積極的な参加を妨げていると指摘。報酬水準を見直すことで、資本をより生産的な用途に誘導し、ネットワーク全体の効率を高める狙いがある。

併せて提案されているのが「コミュニティバリデータプログラム」の創設だ。これは小規模なバリデータへの助成やステーキング機会の提供を通じ、ネットワークの分散性と多様性を確保する方針を示している。さらに、削減によって浮いた報酬分の資金は、流動性インセンティブやガス代補助、ステーブルコイン関連施策への活用が提案されている。

運営コストとバリデータ支援の課題

一部のコミュニティメンバーからは、報酬削減による小規模バリデータへの影響を懸念する声が上がっている。

特にElagabalxNode氏は、強力なデリゲーション制度などの補完措置がなければ、小規模バリデータが淘汰されるリスクがあると警鐘を鳴らす。実際に、アプトスバリデータのうち50以上は300万APT未満しか保有しておらず、ネットワーク全体の約9%を構成している。これらのバリデータがクラウド環境でノードを運営する場合、年間1万5000~3万5000ドルのコストが発生するとされ、経済的持続性に課題が残る。

一方で、報酬削減によって APTトークン のインフレ率が低下し、価格上昇が期待できるという見方もある。これにより、バリデータの実質的なリターンが維持される可能性も指摘されている。また、 BlockBooster の研究者ケヴィン（Kevin）氏は次のように述べている。

高インフレはプロダクト・マーケット・フィットの欠如を覆い隠すものであり、インフレを抑えることで開発者は本質的なプロダクト構築に向き合わざるを得なくなる。

AIP-119は現在、4週間のコミュニティフィードバック期間中にあり、その後メインネットへの導入が検討される。ステーキング報酬の削減というインパクトの大きい変更は、アプトスネットワークの将来的な方向性を左右する要素になる。

短期的には、報酬の減少が魅力低下として捉えられる可能性もあるが、長期的にはトークン経済の健全化やネットワーク活動の活性化につながる可能性を秘めている。この一手が市場にとって吉と出るか凶と出るか、その答えは、今後のネットワークの進化が示すことになるだろう。