イーサリアムのユーザーは、ペクトラ(Pectra)ハードフォークに伴う新機能「ソーシャルリカバリー」の導入により、シードフレーズを失う心配から解放されるかもしれない。

この機能は、計画されているEIP-3074アップグレードの一部としている。イーサリアムコア開発者のティム・ベイコ氏が 4月11日の投稿で 、EIP-3074がペクトラ・ハードフォークに新たに追加されることを確認した。このアップグレードにより、通常のイーサリアムウォレットは、資産の回復機能を含む複数の新しいスマートコントラクト機能を備えることになる。イーサリアム財団のリサーチャーであるドモシー氏が3月25日の ブログ投稿で説明した 。

しかし、ソーシャルリカバリーツールを利用するには、ユーザーがまずデジタル署名を介して自分の資産の所有権を実行者コントラクトに移転する必要がある。この実行者コントラクトは、ユーザーに代わって将来のトランザクションと機能呼び出しを実行する。所有権が委任されている間、デジタル署名内のメッセージによって、ユーザーはシードフレーズを失念または忘れた場合に資産を取り戻すことができるという。

過去数年間で、プライベートキーを忘れたり失ったりしたために何十億ドルもの仮想通貨が失われたと推定されている。

一方、EIP-3074のもう一つの主要な利点は、ウォレットにETHを持っていなくてもトランザクションを送信できることだ。実行者コントラクトの背後にいるエンティティが前払いでそれを支払うことができる。「これは大量のリテール採用を得るための大きな可能性だ」と サイガー氏は指摘した 。

また、1つのトランザクションで複数のアクションを実行することも可能になる。「現在、Uniswapでトークンを交換するには、まずUniswapにトークンの使用を承認してから、実際の交換を行う必要がある。…しかし、3074を使用すれば、これら2つのアクションを1つのトランザクションにまとめることができる」とサイガー氏は付け加えた。

ペクトラ・ハードフォークは、2024年末または2025年初頭に発生すると 予定されている 。